イトデンワ。




『それが、頼めない事?』







見つめ合う。







『どうして…そう思うの?』







『強く抱きしめる事は、すぐにでも出来る。今でもしてる。それが、頼めない事とは言えないだけだ!頼めない事って!何?何をして欲しい?』







『それは…無理なの!無理な頼み事なの!!毎日毎日が、不安と寂しさ。電話でのあなたの声を聞いてると、安心出来たけど…声が聞けなくなると、寂しくなる。あなたに、すぐにでも会いたくても…会えないし…疲れてるのに、我が儘は言えない。ダメだよね?遠距離恋愛には、不安と寂しいは付き物だと言う事は分かってるはずなのに…あなたに、会いたくなる。』







涙が頬に伝わり、
流れ落ちる。







頬に流れ落ちる涙を拭う彼。







『言ってくれよ。お前の我が儘だったら、大歓迎。すぐにでも、会いに行く。夜中でも…。会って、お前を抱きしめる。そうなったら、帰りたくない気持ちになるだろうし…お前を、神戸に連れて行きたくなるよ。俺も、お前と同じだから。お互い、求めるのは…同じなんだな。』







『そうみたいだね。あなたに抱きしめられたら、辛いよ。』







『辛い?そんなに、嫌なのか!?』







『違うよ。寂しいって!事。あなたに抱きしめられたその温もりが、離れてしまうと冷めて…寂しいもの。温もりは、一瞬の出来事。嫌じゃないよ。愛する人から抱きしめられて、嫌な人なんて…いないでしょ!?』







『あぁ〜温もりは、一瞬!その通りだな。じゃぁ〜その温もりを、倍増させれば良い。』







『どうやって?』







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