イトデンワ。
誓い。
ホテルからデニーズまでの距離は、
離れていない。
彼と手を繋ぐ。
手から伝わる温もり。
今日が…最後。
しっかりと繋ぎ直す。
『どうした?』
『ううん。』
同じように彼も繋ぎ直す。
通り過ぎる度に、
振り向き騒ぐ女性達。
彼は、
目立つ。
声を掛けるスカウト達。
その度に、
断り続ける彼を何回も見てきた。
『向こうでも、同じ日常?』
『えっ!?』
『さっきの…』
『あれ?同じうっと惜しいぐらい…気になる?』
『べ…別に、気にはならないよ!』
『気になるくせに!逆ナンは、日常茶飯事だし…強引に、連れて行こうとする女も居るし』
『強引に?そんな女性、居るんだ!!その時は、どうするの?』
黙り。
『言えない…事?』
『言えない。お前に、聞かせられない。俺、正直者だから泣かせちゃったよ。そう言えば、想像付くだろ!?』