Shining Days
1.はじまりは桜の花びらと共に
「部活どうしよっか~」
「弦楽なんてどう?」
高校からの帰り道、春の暖かい陽気のなかを友人の佐知子と歩きながら、今後の高校生活の鍵を握るであろう部活動について頭を悩ませていた。
「確か、バイオリンって自分のを買わなきゃいけないんでしょ?」
「そうなんだよねー。でもほかに楽しそうなのないし…」
今日もらったばかりの部活動紹介の冊子を見ながら、佐知子は弦楽部のページに早速折り目をつけている。
ぱらぱらとめくりながら他にもないかと探しているが、どうやら彼女が気に入る部活は今のところそれだけのようだ。
「ちーちゃんは?何かあった?」
自分に振られるとは思っていなかったので急いで脳みそを回転させるが、さっきまでぼーっとしていた頭はそう簡単には動いてくれない。
少し間が空いた後にやっと出てきた言葉は、
「吹奏楽は嫌だ」
の一言だった。
「あたしも吹奏楽はもういいやぁ~。」
佐知子も同じ意見だったらしい。私は「うん、だよね。」なんて同調しつつ、でも他にやりたい部活がなかったらはいっちゃうかもなぁ…と心の中では考えていた。