芽吹く前に
序章
中学校最後の年、中学校2年生までで、勉強も、部活もすべてが中途半端に終わったように見えて、将来への希望も失われマコトは学校に行く事への意味がわからなくて学校には行かなくなった。
行く時は誰かに呼ばれた時だけだった。
それ以外は行く気になれず家で眠り、夜遊びに出かけた。
二学期が始まっても、学校に行く気にならなかった。
宿題もやって無い・・・
髪も染めたまま・・・
絶対怒られる・・・
行きたくないな・・・
そんな気持ちを抱えつつも、一度は顔を出さなければとも思っていた。
一週間も過ぎた頃、電話が鳴る。
プルルルル、プルルルル。
プルルルル、プツ・・・
誰からの着信でも取りたくない。
そんな思いから、寝ころんだままマコトは電話に目を向けなかった。
しばらくして、携帯を手に取り、留守録を聞く。
留守録からは聞き慣れたケンタからの声がした。
「マコト〜、学校来いよ!待ってるぞぉ〜・・・」
ケンタはマコトにとって今のクラスで一番仲の良い友達だった
。
体は大きくはないが友達思いの強い奴で友達に対してはとても優しい。
マコトにとって気の許せる仲間だった。
「あぁ〜めんどくせぇ〜」」
呼ばれて嬉しいと思う反面、怠けていた分の面倒臭さもあったが、声に出すことで、その気持ちに終止符を打った。
とりあえず次の時間が始まる前までに、準備をする。
もう2時間目が終わり、3時間目の授業に入っているところだった。
部屋の片隅におかれた白いワイシャツと黒い制服のズボンをダラダラと着替えた。
久しぶりに着た学生服姿を鏡で見ると、まだ学生であるという事で、将来への不安が少し消えたような気持ちになった。
先の見えない不安は少しづつ、増えていくが、今は膨らんでは消え、膨らんでは消えて行くだけだった。
学校に行けば、それが少しでも取り除かれる。
そんな期待も無い訳では無かった。