芽吹く前に

良いの買えて、良かったね。

ケンタはいつも優しい。

「うん、わりぃいね。
後でジュースでもおごるから・・・」

「1.5リットルのでも良い?」

「馬鹿か、250ミリのにしろ・・・」

素直というのが、いつも恥ずかしくて、ふざけた感じにしなくてはすまないのだった。

帰り道を自転車でケンタと二人で帰っていると、後ろから声が聞こえた。

「おいっ、お前ら止まれ!」

見ると同年代くらいのちょっと、ヤンキーぶっているような奴だった。
そいつの後に3人後からついてきて、こちらを見ていた。

「お前ら、さっきガンくれてただろう!」

マコトとケンタは顔を見合わせそんな事あったか?という顔をした。

「見てねーよ。どこでだよ。」

ケンタはいつもと違う口調になった。
友達といるときは優しいのだが、こういう時はとても怒鳴りもせず、冷めた感じの口調になるのである。

「さっき、俺らがコンビニにいたときにこっち見ただろう。」

マコトはそう言えばコンビニは見たかもしれないが、こいつらの存在など全く感じてもいなかった。
「いや、見てないよ。」

マコトがそう言っても、相手は引き下がらない。

「お前、なめてんのか?ガンくれてただろ?
お前らいくつだよ?

「15だ。」
ケンタが冷静に答える。

「俺たち、高1だぞお前らため口きいてんじゃねえよ。」

「マジで、ガンくれてないっすよ。
コンビニは見ましたけど・・・」

マコトは特にことを荒立てたくなかった。
出来る事なら謝って帰りたいも思っていた。
< 24 / 36 >

この作品をシェア

pagetop