芽吹く前に
良いの買えて、良かったね。
ケンタはいつも優しい。
「うん、わりぃいね。
後でジュースでもおごるから・・・」
「1.5リットルのでも良い?」
「馬鹿か、250ミリのにしろ・・・」
素直というのが、いつも恥ずかしくて、ふざけた感じにしなくてはすまないのだった。
帰り道を自転車でケンタと二人で帰っていると、後ろから声が聞こえた。
「おいっ、お前ら止まれ!」
見ると同年代くらいのちょっと、ヤンキーぶっているような奴だった。
そいつの後に3人後からついてきて、こちらを見ていた。
「お前ら、さっきガンくれてただろう!」
マコトとケンタは顔を見合わせそんな事あったか?という顔をした。
「見てねーよ。どこでだよ。」
ケンタはいつもと違う口調になった。
友達といるときは優しいのだが、こういう時はとても怒鳴りもせず、冷めた感じの口調になるのである。
「さっき、俺らがコンビニにいたときにこっち見ただろう。」
マコトはそう言えばコンビニは見たかもしれないが、こいつらの存在など全く感じてもいなかった。
「いや、見てないよ。」
マコトがそう言っても、相手は引き下がらない。
「お前、なめてんのか?ガンくれてただろ?
お前らいくつだよ?
「15だ。」
ケンタが冷静に答える。
「俺たち、高1だぞお前らため口きいてんじゃねえよ。」
「マジで、ガンくれてないっすよ。
コンビニは見ましたけど・・・」
マコトは特にことを荒立てたくなかった。
出来る事なら謝って帰りたいも思っていた。