「FLY」 ~海を翔る~

NO.4

家を出てしばらくして、彼の車がもの凄いスピードで目の前にやってきた。

フルスモークの車からは、車内の様子は分からない。

助手席のドアを開けて、ヨシくんの顔が見えた。

いつもの顔・・怒ってる。

乗ってドアを閉めた瞬間、車は急発進した。

何処に向かってるのかは分からなかった。

荒いハンドルの切り方、急発進。。。

急ブレーキを踏まれた時、フロントガラスに打ち付けられた。

自然と手でお腹をかばっていた。

「ちょっと、何すんのよ!!」

私は、初めて彼に向かって怒鳴った。

その瞬間、彼の左手は顔面に飛んできた。

「おとなしく座っとれや」

車は、人気の無い所で止まった。

海だった。

「降りろ」

そぉ言って、彼はエンジンを止めた。

降りたらきっと殴られる。

中々、ドアに手が伸びなかった。

ドアが開いた。

彼は、宏美の手を取った。

そのまま海辺に歩いて行った。

彼は、自動販売機の近くにあったベンチに宏美を座らした。

ホットミルクティーを買ってくれた。

彼の口が開く・・

「お前、行くとこ無いやろ?自信は無いけど俺頑張るわ。」

彼に頼ってもいいんだろうか・・・

でも、頼るしかなかった。


あたし・・・彼と頑張るわ・・


夜の海は、凄く静かだった。
< 113 / 144 >

この作品をシェア

pagetop