「FLY」 ~海を翔る~

NO.8

怒る気持ちと悲しい気持ち。

それと、冷めた気持ち。

色んな気持ちを抱えながら、晩御飯の準備。

予告通りの、肉じゃがを作って帰りを待った。

いつもの時間に帰って来た。

リビングに入って来た瞬間のヨシくんの顔は引きつっていた。

「お帰り~ユウジくん」

何も無かったかの様に私は言った。

「はっ?ユウジって誰やねん・・」

「あれ?ユウジちゃうかった?」

言ってやった。

ヨシくんは、何も喋らない。

そのまま、リビングに座りタバコを吸い始めた。


私は、晩御飯の用意をテーブルに並べた。

「さぁ~お腹ペコペコやし!食べよ~」

ヨシくんは、お箸に手を付けない。

「どないしたん?ゆうじ~食べよしぃ~」

そぉ言った瞬間、彼は手に持ってた携帯電話を折った。


戦いの火蓋は切って落とされた。

私は覚悟を決めていた。

私にだって、プライドってもんがある。

女として、妻として、母親として、何より1人の人間として。

もぉ、黙ってられなかった。
< 128 / 144 >

この作品をシェア

pagetop