「FLY」 ~海を翔る~

NO.3

それからしばらくは、電話の着信もメールも無視してた。

ある週末・・

うちに、お客さん。

ヨシくんと、お母さん、お父さん。。。

リビングが異様な空気だった。

宏美も同席した。

私は、臨月を迎えていた。

今更、何の話なんだろうか・・・

「この度は、ご挨拶が遅くなりまして・・申し訳ありませんでした。」

ヨシくんの、お母さんが言った。

うちの両親は黙っている。

「ひろみちゃんが、家を出て行ったみたいで・・」

ヨシくんの、お母さんは続けた。

「あの・・コレを持って参りました。」

差し出したのは “ 婚姻届 ” ・・・

「あの、申し訳ありませんがしまって下さい。」

パパが言った。

「うちの娘は、妊娠が分かった時、まだ高校生でした。」

「その時、お宅さんはどぉ思われましたか?」

「お宅にも、娘さんがいらっしゃる・・何とも思わなかったんですか?」

パパが続けた。

「お宅の息子さんは、挨拶には来ました。」

「でも、それ以来なんの音沙汰も無い。」

「挙句の果てに、暴れたり・・娘がどんな思いをしてきたと思ってるんですか?」

パパが必死で私を守る姿に泣きそうになった。

「とにかく、結婚はさせません。」

「娘と、生まれてくる子供は私が全て面倒を見ますから。」

「お帰り下さい。」

・・・・。

「また、改めて来ますから・・」

ヨシくんの、お母さんは玄関先で言った。

「いえ、結構ですから。」

無言で帰って行った。


全ては終わった。

パパ、ママ・・赤ちゃん・・・本当にごめんなさい。
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