「FLY」 ~海を翔る~
着信 ナオ
驚いて電話に出た。
お母さんだった。
「宏美ちゃん?ナオの意識が戻ったのよ!来れる?」
「すぐ行きます」
電話を切って、運動靴を履き大阪に向かった。
電車に乗ってる間、ずっと動悸は止まらなかった。
駅を出て病院までは、距離がある。
タクシーで行こうと考えてた。
駅に着き、誰より先にホームに下りた。
改札を出てすぐ、リュウくんの車が見えた。
横には、あずちゃん。
「宏美!!はよ乗り!!」
飛び乗って、病院に行った。
「宏美ちゃん!!急に呼び出してごめんなさいね」
ナオの、お母さんが居た。
私は、ナオのベットに近づいた。
青白い顔。。。
頭や身体には、包帯がぐるぐる巻いてある。
ナオじゃ無いみたい。
その時、目が少し開いた。
力の無い声が漏れる。
耳を近づけた。。
「なぁに??」
いつもの様に聞いた。
「ごめんな。危ないから単車乗るの止めるんやで。」
「教えてくれたんは、ナオやんか!」
「俺見たら分かるやろ?」
「・・・・・・・。」
返す言葉が無かった。
「卒業おめでとう。幸せになるんやで。」
「なんで、そんな事・・・・」
涙で言葉にならんかった。
そのままナオの声は聞けなくなった。
それから何時間だったかな・・ベットの横に居たのは。
ナオの管だらけで包帯ぐるぐるの手を握りながら、ベットの横でウトウトしていた。