*最低小悪魔日記*



『抱きしめていい?』



えっ?とあたしが戸惑ったフリをしていると『ごめん』と聖史の声がしてから急に目の前が暗くなった


あたしはそのあとすぐに理由がわかった


抱きしめられてる



ほんの少しの間の出来事だった

でもあたしには本当に長く感じて
胸の鼓動が早くなり、早く静まれと思った


「ごめん。帰るわ。」
聖史に上着を渡すとあたしに背を向けて帰っていった

そのときはもうこんな風に話すことなんてできないのかな・・・。
なんて思ったが、次の日でも聖史はいつもとなんにも変わらずあたしを家まで送ってくれて安心してしまった自分の気持ちに気づいてしまった

でも

あたしは
凌介と別れて聖史と付き合おうなんて考えもしなかった

だって凌介が好きだから
でもあたしがこんな状態になるなんて本当に珍しいじゃん?
だから聖史を突き放すことはできない

そうこの時あたしは恋愛が、人の心を見るのが、つかむのが、振り向かせるのが、楽しくなってしまった



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