私こそ光る☆君 ~番外編~
『奏、わすれものはないか?』
「うん!!」
『よし、いい子だな』
元気よく返事をした奏の頭を、空いている方の手で撫でてやると、奏は目を細めて嬉しそうに笑った。
妹と手を繋いで仲良く登園。
幸せだ。
そう、この上ないくらいに幸せ。
「お二人とも、転んでしまわれないように足元には十分注意してくださいませ」
……こいつさえいなければ。
「うん!!」
素直な奏は俺と反対側の方に笑顔を向けた。
その手を離せ、坂上!!
父さんの言いつけだか何だか知らないが毎日毎日、こいつは性懲りもなく無理やりくっついて来ては、俺と奏の二人っきりのラブラブ登園を邪魔しやがる。
「さあ、幼稚園に着きましたよ。
行ってらっしゃいませ」
幼稚園の正門の前で坂上の笑顔に見送られる。
お前に言われなくても行くっつーの!!
『奏、行こう』
「えっ?
さかがみさん、じゃあね」
奏の小さな手を握りなおすと、坂上を振り返る奏を半ば急かすようにして中に入っていった。