私こそ光る☆君 ~番外編~


「なら全員で料理の腕比べっていうのはどうかな?」


ああだ、こうだと口論を繰り返すうちに紫水がそんなことを言い出した。


紫水の提案には乗らないのがベスト。

そう信じて疑わない私だったが、売られたケンカを買わずにはいられない、そんな無駄に高いプライドを持つ者がこの場にはいた。


「いいだろう。

やってやろうじゃん」


遥だ。


「もし遥、君が僕に買ったなら、僕は自分が作った料理を二度と君に食べさせない。

これでいいかな?」


いつもと寸分違わぬ笑みを称える紫水は余程自信があるのだろう。


「ねえ、ハルちゃん。

やめようよ~?☆」


不安全開の表情で由依が止めるのにも耳を貸さず、


「お前が勝ったら?」


と、遥は挑戦的な目で紫水に問う。


「僕が勝ったら、その勝負で僕が作ったものを君が全部食べる」


「その勝負、受けた」


不敵に笑う遥だった。



『私パス……』


「じゃあ、みんなで行こうか?」


巻き込まれたくない一心で逃げ出そうとするも、笑顔でごり押ししてくる紫水に、もはや為す術もなかった。



< 167 / 291 >

この作品をシェア

pagetop