私こそ光る☆君 ~番外編~
「やっぱ人多いな」
『うん、多いね……』
この会話、本日二度目。
だって、慣れない状況に緊張して頭も口も回らないんだもん!!
それにそろそろ気になることがある。
ズバリ、遥のイライラのバロメーターのこと。
映画にはポップコーンとコーラだって遥が言い張るから並んでるんだけどね。
遥って待つの大嫌いだから……。
『遥、良かったら先に……』
「僕、キャラメルシュガーポップコーンがいい☆」
立って待つよりはマシだろうと、先に座席についておくことを提案しようとした矢先、前方から聞きなれたような声が聞こえてきた。
「『っ!?』」
二人して顔を見合わせると、列が動いてカウンター前の様子が見えた。
「お客様、大変申し訳ございませんが当シアターではキャラメルシュガーポップコーンの販売は行っておりません」
「え~っ、ヤダ~☆」
頭の天辺の方は帽子で隠れていて見えないけど、あのふわふわっとした茶髪とこの声は間違いない。
由依だ。
それに……。