私こそ光る☆君 ~番外編~
「由依、あまり店員さんを困らせてはいけないよ。

目立ってしまうからね。

ああ、そこのえくぼが可愛らしいお嬢さん?

この映画館は外部からの飲食物の持ち込みは可なのかな?

軽食に最高級鴨肉のサンドウィッチをと思っているのだけれど」


「由依、我慢……」


無茶苦茶なことを平気で言う人と周囲から頭一つ分飛び抜けた高身長の持ち主。

すなわち、紫水と清龍までいる。


尾行および待ち伏せをされていた。

そういうことだろう。



清龍の身長はどうしようもないから仕方ない。

由依のキャラメルシュガーポップコーン愛好宣言にも目を瞑るとしよう。


でもね、紫水!!

あなたはいったい何がしたいの?

目立つことはダメって自分で言っておいて、あなたが文句なしに一番目立ってるから!!


「それから、僕が座る座席シートは付け替えさせてもらうから。

あんな硬い椅子に2時間も座ってるなんて、僕には耐えられないよ」


あいにく、こちらからは彼らの後姿しか見えない。

けれど紫水が白い歯を見せ付けるように笑っているのが想像できた。


爽やかに横暴だ。

もはや質問ですらない。



< 223 / 291 >

この作品をシェア

pagetop