私こそ光る☆君 ~番外編~


カランカランッ。


「ありがとうございました」


『ううっ、さむっ……』


店員さんの声に見送られてお店を出ると、あまりの寒さに身をすくめた。


火照った頬を冷ますにはちょうどいいかもしれないけど……。

火照った原因のことはぶり返すといけないから考えないことにする。


帰りは遥が家の前まで送ってくれた。

お店の中でのことで遥も気まずいと思っているのか、会話は少ない。

それでも、しっかりと手を握ってくれているから不思議と落ち着いた気持ちになれた。



「またな」


家の門の前。


『うん、今日はありがとう』


「おう」


二、三言葉を交わすとすぐに遥は背を向けてしまう。


それが少し寂しくて、手を伸ばした。


グイッ。


ちゅっ。


『おやすみ!!』


遥のマフラーを引いて手繰り寄せ、自分から遥にキスをする。

マフラーから手を離すと、逃げるように家の中に飛び込んだ。


だから私は知らない。

この時の遥の頬が朧月(おぼろづき)の淡い光りの下でもわかるほど赤らんでいたことを。



おしまい☆



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