私こそ光る☆君 ~番外編~
『わかってくれたならもう、そんな顔しなくてもいいよ?』


そう声を掛けると、由依はぱぁっと顔を輝かせて見つめてくる。

徐に両手を広げて、抱っこおねだりのポーズ。


この誘惑にはひとたまりもなかった。


身を乗り出して抱きしめれば、由依は耳元で微かに幸せそうな笑い声をさせる。


私も幸せーなんて思っていると、由依の肩越しに紫水と目が合った。


えっ?

何か眼差しに鋭いものを感じるのは気のせい……?


標本の昆虫みたいに視線に縫い止められて身体を硬くしていると、ふいに紫水が口角を吊り上げ、口を開いた。


「光も走っちゃダメだよ?」


優しげに。

しかし、氷の塊のようにずしりとした重みと冷たさを感じさせる声。


ギャーー!!

目が笑ってませんから~!!


ピシャッと背筋を伸ばしてもともと硬直させていた身体をさらに硬くする。


「じゃあ僕はそろそろ着替えて来ようかな?」


言い逃げとは卑怯なり!!


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