シークレットLove

…近付くなよ!
「ううん、覚えてない」
私が首を左右に振る。

「…そっか。良かった」
安堵のため息をつき、私から離れる。

…なんだこいつ。
私は不審者を見るような瞳で朝日を睨み付けた。
もちろん朝日はそんな事気にしない。
…つか。
気付いてない。

「ん、お前の鞄」
「ほらっ」と言って私の目の前に鞄を突き出した。

「ありがと、朝日!」
良かった~。
これで撮影出来る。
私はすがる思いで、鞄を受け取った。

私は、くるっとカメラマンさんの方へ向き直り。
「すいません!ご迷惑お掛けして…。でも、これで撮影が出来ます!」
ぺこっと勢いよく頭を下げた。

バッと顔を上げ「スタッフの皆さんにもご迷惑お掛けしました!」
声を張り上げ、言った。

「なので!撮影させて下さい!お願いします!!」
深く頭を下げ、いかに私が真剣か知ってもらえるように下げ続けた。

短い沈黙の後…
「…いいでしょう。早く着替えてきて下さい」
私の思いが伝わった!

私は勢いよく身体を起こし、顔をパァと輝かせた。
「はいっ!!!」

ーーーー「ふぅ~。今日はホント危機一髪だったな」
写真撮影、ドラマ撮影を終えた私は帰宅中。

「ホントねぇ。でも良かったじゃない。イケメン君が救世主なんだから」
…何処が!?
あんな奴に助けてもらうなんて…一生の不覚よ!

バンッ
「じゃあまた明日ね♪玲ちゃん」
「おやすみ、凛」
ニコッと微笑み、玲ちゃんの車は暗闇に溶けていった。

何処が良いのかな…、あんな奴。
今思い出すだけでも…寒気がするわ。
あいつが別れ際に言った言葉。

『お前、おもしろいな。これからが楽しみだ♪』

…これからってどういう意味よ?!
わけわかんない!!
< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop