シークレットLove
俺は釘付けになった。
咲野が笑顔になると、ドキッと心臓が高鳴る。
ふと咲野がこちらを向いてニコッと笑った。
ドキッ
俺に笑いかけてくれたのか…?
自惚れた事を思ってしまうほど、咲野は綺麗だった。
「…ねぇ。なんかシャッター音いつもより多くない?」
さっきのスタッフが口を開く。
「…だね。リンちゃんの事を認めたって事じゃない?」
そんな事をさらっと言ってくれちゃう。
ドキッ
あいつが、咲野を認めた…?
俺の中が一瞬で黒く染まった。
この時の俺は、なんでこんな事を思ったのか自分でもわからなかった。
バカな俺…。
早くこの気持ちに気付いていれば、俺も咲野も傷付く事はなかったんだ。
ーーーー30分後。
やっと終わった。
何着か服を変えて撮影を終えた。
「お疲れさまぁ♪」
伸びをした咲野。
スタッフがぞろぞろ咲野の方へと集まっていく。
「お疲れ様!リンちゃん、可愛かったよ♪」
「すっごく綺麗だった」
「一時はどうなる事かと思ったけど、良かった良かった」
スタッフは口々に言う。
“可愛い”
“綺麗”
“良かった”
誉め言葉しか聞こえない。
「ありがとぉ!」
咲野は少し頬を赤らめながら微笑んだ。
「あっ、そうだ!リンちゃんにお菓子持ってきたんだ!」
スタッフはパンッと手を叩き思い出したように言う。
咲野はスタッフの言葉に顔をキラキラ輝かせ、
「ホント!?やったぁ」
大喜びする。
「これ、新発売したチョコなの!」
「知ってる~!美味しそうだなって思ってたんだ♪ありがと!」
差し出されたチョコを受け取り、さっそく開け始めた咲野。