シークレットLove

「ふふっ。聞きたい?」
「は、はい」
気になる…少しだけ。
すっごく気になるわけでは…ない。
少しだけ、少しだけ…。
そんなことを思っていた俺を知ってか知らずか、「どのくらい気になる?」と顔を覗き込まれた。
「……少しだけ」
「ふ~ん…。じゃあ、教えない」
「…は?」
「だって凛に興味ない人に教える資格ないもん」
と顔を背けられた。

…そっちがそう出るなら。
「…じゃ、遠慮しときます」
素直作戦!
すると、門井さんは…。
「え?嘘。待って待って!教えるよ!」
となるのだ。
ふっ、我ながら良い作戦だな。
自分を誉めていると。
「あっ…聞きたくないんだ?凛と親しくなりたくないわけだ!」
何!?
俺の予想が外れた?
それより…。
「…親しくなりたくないとは?」
門井さんが、ゆっくりと振り返る。
「…ふふ。聞きたくなった?」
うっ…罠に引っ掛かってしまった。
「…」
俺が無言でいると。
「…聞きたくないのかぁ~」
門井さんから小さなため息が漏れる。
…ち、ちくしょー。
もう、開き直ってやる!
「~~!聞きたいです!むっちゃ聞きたいです!!」
「…ならば教えよう」
振り向き様に言われた。
その顔は、待ってました!と言わんばかりの満面の笑みだった。
俺は恥ずかしくなり、少し下を向く。
「じゃあ、よく聞いてよ?」
「…はい」

そこから門井さんの長い昔話が語られる。
そんなに昔ではないが。
「いつかは忘れちゃったけど、撮影が終わって私の車で凛を送っているときに、いきなり凛が。
「玲ちゃん!また見ちゃったよ!」
っていうから幽霊でも見たのかと思ったんだけど、凛って霊感とかないから何を見たんだろうと思ってね。
「何を?」
って運転しながら聞いたの。
そしたら、「朝日亮!」って言うのよ」
何?
俺って好かれてんの?
だって見ただけで、いちいち報告なんかしねぇだろ。
な~んだ。
俺、好かれてんじゃん!
と何故かわからないが、上機嫌だった。
門井さんはまだ話を続けるつもりのようだ。
俺は好かれてるってわかったし、べつにいんだけど…。
一応聞こっ。
何て言ったのかは気になるし。
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