シークレットLove

「…離すわけねぇだろ。俺が取ってやるよ」
と私の顎から右手を離し、音のする方へ右手を近付ける。

まぢスか…?
あまりの驚きに朝日の手の動きがスローモーションに見えた。

ケータイはスカートのポケットの中にある。
それを取るって…まさか。
…いっやあぁぁぁぁ!

まぢやめてぇ!
それはホント無理!!
セクハラ朝日!!!

「やめっ、それは…だめぇ!」
私は叫んでいた。
すると朝日の右手がスカートのポケットに突っ込む寸前でピタッと止められた。

良かった…。
案外物分かり良いじゃん。
なんて安心しきっていた。
…私がバカだった。

「止めてほしいなら…キスしてよ」
…ん?
今、何と?
私がポカーンと朝日を見ていると、「だから。キスだよ、キ~ス♪」なんて可愛く言ってくる。

あぁ~。
キスかぁ…
…キ…ス…?!
はいぃぃぃぃぃぃ!?
今、キスって言った?!
ありえないでしょ!!

「待って!なんで私なの!?可愛いコなら他にもいるじゃん!しかも、あんた私の事わからないんでしょ!?」
けっこう早口になってしまった私。
言い終わった後、ハァハァと肩で息をした。

「…う~~ん。べつにいいじゃん」
…はっ?
「ただキスしたいだけだし?」
…キス…したいだけ?
「…じゃあ…誰でも…いいわけ?」
「当たり前じゃん♪」

ブチッ
私の中で何かが切れた。
誰でも…いい?
キスしたいだけ?

「…んな」
「はっ?」
私の声が聞き取れなかったらしい朝日は、もう1度私に聞いてきた。

…今度は最っ低なあんたにでも聞こえる声で言ってあげるわよっ!!
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