シークレットLove
「ふざけんなって言ったのよ!!」
その瞬間、目の前にあった顔は私の足元にあった。
私が朝日の急所を靴の裏で蹴ったから。
朝日限定ではなく男全員の急所。
効果は抜群。
私は男じゃないからわかんないけど、ハンパなく痛いらしい。
「…ぐぁ~。いってぇ…」
床に蹲(ウズクマ)り、両手であそこを抑えていた。
私は床に落ちている制服を取り、朝日を軽蔑の瞳で睨みつけながら、「あんた、最っ低!」横を通り過ぎた。
ガラガラッ
保健室から出た私はすぐさま制服に着替え直した。
ケータイは鳴っていない。
誰からの着信か確認するためにケータイを開いた。
着信履歴を見ると、電話に出ていないという印のマークと電話をしてきた人の名前が出されていた。
「玲ちゃんからだったんだ」
マネージャーの玲ちゃんからの着信だった。
何だろ?
私は玲ちゃんのケータイの番号に電話をした。
2コール目。
「もしもし!凛?!」
「玲ちゃん?ごめんね、電話出れなくて」
「そんな事はもういいから!今校門にいるの。だから早く来て!」
「なんでそんなに急いでんの?」
「何言ってんの?!撮影あるんだよ!?撮影~!」
「撮影…?…あぁ~!そーだったぁ!!」
私は撮影の事をすっかり忘れていた。
保健室に行ったのも着替えるためだったんだっけ!
「ごめん!今すぐ行く!!」
「急いで、凛!」
ブチッ
電源ボタンを押して、ケータイを閉じて、スカートのポケットに突っ込んだ。
ダッシュしなきゃ!
しかし、衣装がない事に気付いた私。
…保健室の中だ。
もう1回入るのは嫌だけど…悩んでる暇なんかない!!