シークレットLove
車に乗り込み、扉を閉めた。
バンッ
「つ、疲れたぁ~」
バタッと倒れ込んだ。
「お疲れ~!てか早く着替えなよっ」
「あっ!そーだった」
鞄を開けた…ら。
何も入っていない。
「…な、なんで?!衣装が入ってない!」
私の大きな声に玲ちゃんは前を向きながら言う。
「どゆ事!?」
「…わかんない…」
私はふるふる首を左右に振った。
さぁーっと血の気が引いていくのがわかった。
どーしよ…。
取りに行ってる時間なんかない。
「どーする?!取りに行く?!」
玲ちゃんの言葉に私はぶんぶん首を振る。
「ダメだよ!時間がない…。ごめん、玲ちゃん!せっかく迎えに来てくれたのに…」
「それは大丈夫!でも、ホントに衣装はやばいな…」
玲ちゃんを困らせるつもり、なかったのに…。
やばい、泣きそう!
「凛!」
「はっ、はい!」
いきなり玲ちゃんに呼ばれてバッと顔を上げた。
「泣くな、凛!弱気になったらおしまいなんだから!」
「…うん…うん!そーだよね!ありがと、玲ちゃん!!」
「でも、ホントにどーしよ」
もう弱気にはなんないけど、焦りはする。
「しゃーない。正直に言うしかないっしょ。なんで今日に限って持参なわけ?」
ため息を吐く玲ちゃん。
玲ちゃんの言う通り。
今日は、大物カメラマンを迎えての写真撮影だからだ。
その後は大物が監督するドラマ撮影。
少しでも遅れるとものっすごくやばい。
只今の時刻4:45。
もう、撮影するテレビ局が見えてきた。