魔王家
―残暑が厳しい日―

魔王の退屈さはピークに達していた。

「たーいーくーつーじゃー」

事件が無さすぎる。
同時にイライラもピークになりそうだった。

「あーつーいー」

悪い事は重なる。

「う、今日も酷いな」

女の子の日もピークだった。

「何でこの城は誰も来ないんじゃ」

魔王が生まれたその日より、この魔王の城には客人は愚か、未だ誰も来た事がない。
城に遣える者以外は、出入りが出来ないようになっている。

「魔王様、このお城は魔王様がお生まれになったその日よりラストダンジョンです」

メイヤのこの言葉に魔王の目が輝く。

「ラストダンジョンとな」

RPGっぽい言葉が大好きだった。

「はい。魔王様が誕生の際に結界が張られているため、我々以外の者には、外からは何も見えないようになっております」

「なるほど」

魔王は二十一年間住んできて初耳だったので、興味でいっぱいだ。

そしていくつかの疑問が浮かんできた。

「メイヤ、聞きたいことが二、三ほどあるのじゃがよいか」

「はい」

正直今から魔王が聞くことの中の一つには、メイヤが説明し忘れていた内容があった。
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