魔王家
―アレンが引越しした理由―

魔王の城の近くには大きな街がある。

つまり魔王はこの街の学校に通っていた。

アレンの父親が先代魔王を倒したので、新魔王が誕生したことも魔王の城の場所も大体分かっている。

しかし、アイテムは消失し新たな結界で場所が特定出来くなっていたので、せめてもと近くの街にとどまり新魔王の動向を探り、調査をしていたのだ。

アレンも次の魔王に備え訓練をするため、父親の所にきていた。

そういう事情があったので、魔王とアレンが同じ校区にいたわけである。

「十年近くこの街に住んでみたが、さっぱり分からん」

アレンの父親の調査は滞りをみせた。

何せ魔王が女の子でありメイヤ達の献身的な素性隠しが功をそうしていたので、調査が進むわけなかったのだ。

十年ちょっと越しにそれに気付いたアレンの父親は、自国に帰ることにした。

「魔王が宣戦布告してから、アレンを魔王の元へ向かわせればいいや」

動向調査を諦めたアレンの父親とアレンは、間もなく自国に帰った。

これがアレンの引越しを余儀なくされた理由になる。
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