魔王家
―ニ週間後―

「やっと着いた」

アレンは遂に城があると思われる場所に来た。

そこは小さな時に過ごした街から少し外れにあり、殺風景な平原が広がる場所。

アレンは前の日に街に着き、準備をしてきた。
後はキーアイテムの地図に記されるこの場所で、結界を解くアイテムを使うだけである。

「使い方が分からん」

アレンは困ってしまった。

一人であたふたしている。

そのアイテムは手の平より一回り大きな水晶玉のようなもの。

「まじ、どうすればいいんだろ……」

困り果てたアレンはその場に寝転がり、地図を眺めていた。

「ん?なんだこれ」

仰向けの状態で地図を空に向けていると、透けて何か文字のようなものが見える。

「ここに書いてるし……」

地図の裏に結界を解くアイテムの使用方法が書いてあった。

「なるほどね、灯台もと暗し……」

早速アイテムを使うことにする。
アレンは両手で玉を持ち、念を込めるように目を閉じた。

すると玉が淡く光り、辺りが少しざわつく。

辺りの異変を感じ、目を開けると魔王の城が眼前に広がっていた。

「もえん家でけぇ」

アレンは素になっていた。

「違う違う、これが魔王の城、だ」

勇者らしくない台詞に気づき、言い直すアレン。

そして城の中に入っていった。
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