魔王家
アレンは城の外見で驚いたが、城の中に入り更に驚いた。

入口の扉を開けると目の前には大きな階段があり、ぱっと見ただけで沢山の扉がある。

「石像こえーよ」

オブジェなのか威嚇なのか分からない石像は、『魔王の城』という雰囲気をいい感じで演出していた。

「しっかし、どこから調べたらいいのやら」

魔王の城は一見居住空間のようで、勇者が来ればきちんとダンジョンとして機能する。

無数の部屋は大概が召使いの部屋だったりするのだが、数が多い、フェイクの部屋がある、無駄に建物がデカイ等勇者は一苦労。

だが一番勇者を苦しめていたのが、やはり『居住空間』であるということ。

勇者は正義の味方なので、居住空間である城の中を誰もいない状態で調べ回るこの行為こそに精神的ダメージを感じる。

「傍目に俺って……空き巣とかわんなねぇな……」

この城を作った初代魔王は肉体的にダメージを与えるのではなく、精神的にいくあたり相当腹黒いなと感じたアレン。

そんな中、沢山の部屋を物色していると、ある部屋にたどり着いた。

他の部屋とは明らかに作りが違う扉には名前が書いてあった。

「メイヤの部屋……か、なんかここには有りそうだな」

魔王様以外立ち入り禁止とも書かれていたが、アレンは無視してメイヤの部屋に入る。
< 117 / 152 >

この作品をシェア

pagetop