魔王家
「さて喋ってばっかりじゃ勝負はつかないからな、そろそろ本気でいくぜ」

「強がりおって」

魔王はまた魔法を連発する。

しかし、アレンは力を宿したその剣で魔法を斬り払いながら魔王への距離を近づけていく。

「なんじゃその剣は。先ほどから気になっておったが……っ!」

アレンの斬撃をすんでの所でかわした魔王は、頬から血を一筋流した。

「だから喋りすぎなんだよ魔王さん。これは俺が編み出した『魔』を斬る力だぜ。魔力の通う魔法も例外じゃない」

魔王は頬の血を拭うと、笑いだした。

「ははは、面白い。それでなくては、こちらも勇者を倒す意味がない。余がお前を倒すことで、余に逆らうとどうなるか、世に知らしめることが出来るというもの」

魔王は不利な状況を逆に楽しんでいる様だった。

アレンはアレンで、連戦による力の酷使で限界が近づいてた。

魔王はそれに気づいてるからこその余裕ぶりである。

(ヤバいな。力を節約しないと決着つけられないかも……)

アレンはハッタリで魔王の前に立っていたのだ。
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