魔王家
魔王もほぼ同時にその二つの姿を確認する。

「アーサン、メイヤ無事だったか」

アレンが倒したはずのアーサンとメイヤが、何事もなかったように現れた。

「魔王様、只今戻りました」

メイヤ、アーサン両名が挨拶をした。

「良いところへきた。後もう少しで勇者を倒すことが出来る。二人とも余を手伝え」

魔王の命令は魔族にとって、逆らうことは出来ない強制力を持つ。

「はい」

アーサンとメイヤは、素直に返事をし、攻撃の体制をとる。

「くそっ」

アレンもこの状況ではどうしようもないので、再び剣を抜き総攻撃に備えた。

「遂に余が目指す魔の世界が出来るぞ。勇者よ、覚悟するがよい」

背後にアーサンとメイヤ、正面に魔王と囲まれアレンは絶体絶命。

そして背後にいる二人が攻撃を開始した。

メイヤの先制攻撃は得意の炎の魔法。
アレンに向かって真っ直ぐに飛んでいく。

それに続き、アーサンもアレンに向かって攻撃を仕掛ける。

「ははは。勇者よ、後ろに気を取られれば余が攻撃してくれようぞ」

アレンは正面を向いたまま、微動だにせず力を剣に注ぎ魔王を見据えている。

メイヤの魔法が後少しで当たるところで、アレンがニヤリとした。
< 132 / 152 >

この作品をシェア

pagetop