魔王家
アレンの振るった剣は綺麗に魔王を真一文字に払う。

魔王を覆うまがまがしい黒いオーラのみが二つに切れた。

「これで終わった」

アレンが剣を納めたその瞬間、魔王の体から黒いオーラが消え、そして魔王は気を失った。

「魔王は倒した。後はもえが起きるのを待つか」

アレン、そしてアーサンとメイヤはこれで終わったと思った。

三人ともがアレンの不思議な力の効力を知っており、初代魔王が倒れ、邪気の根源を絶ったのだから。

「これで、もえちゃんが元気に起きてくれれば最高だね。アレンは魔王を倒したし、もえちゃんは倒されてないしね」

アーサンはこの素晴らしい結果に満足していた。

「アーサン、言葉がおかしいぞ」

メイヤはいつも通り冷静に突っ込む。

「でも、これで良かったのかもしれない。魔王様が居なくなるにはまだ早いと思っていたし……」

魔王教育係として、そして一から魔王を育ててきたからこその葛藤が、メイヤやアーサンにはあったのだろう。

「まぁ俺勇者だし?毎回同じ結果じゃ面白くないじゃん。せっかく『成長する力』持ってんだからさ」

アレンも調子に乗っていた。

実際もえの中に巣食う『邪悪な心』と闇の根源初代魔王マーサを斬り捨てたのだから。

だが、異変はすぐに起き始めた。
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