魔王家
魔王の周りをまた黒いオーラが包み始めた。

「ちょ、ちょっとアレンこれどういうことよ」

一安心したところに不測の事態が起き、メイヤが混乱していた。

いや、メイヤだけではなくアーサンやアレンまでもが驚いている。

「俺は確かに全力で斬ったはず……」

一時は魔王から邪気は消えた。
しかし、それがまたオーラと共に膨れあがる。

「まさかまだマーサ様の力が残ってるんじゃ!」

アーサンも尋常じゃないほど慌てていた。

そして魔王が気がつく。

三人に緊張が走った。

「アーレーンー」

アレンは力が残っていないが、剣を抜いた。

「よくも『もえ』を倒そうとしたなー」

一瞬の沈黙。

「へ……?」

「もえ……ちゃん……」

「魔王様……」

アレンは剣を落とし、アーサンは魔王に抱きつき、メイヤは膝の力が抜け座りこんだ。

「何をそんなに驚いておるのじゃ?」

魔王はいつも通り、イタズラっ子のようにケラケラ笑いながら三人をからかっていた。

「脅かすなよな」

アレンもほっとし、再び剣を納める。

ただアレンは気がかりだった。
魔王の黒いオーラは消えていなかったのだ。
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