魔王家
「アーサン、メイヤ無事で何よりじゃ」

マーサに支配されていた時も魔王は見ることは出来たので、起きた時に状況はすぐ把握出来ていた。

「いやいや、アレンが二人を『倒した』と言った時は本当にアレンを殺そうと思ったのじゃよ」

魔王は少し前の出来事を振り返っただけだった。

しかし、その魔王の表情にアレンだけではなく、アーサンやメイヤまでも少しゾクリとした。

「魔王様、これからどうなさいますか?」

アレンには魔王を倒したという事実は出来たが、魔王は無事なのでこれからどうしたらいいか分からないメイヤ。

「三人で一緒に暮らそうよ」

アーサンは一度アレンを牽制して『三人で』を強調して言った。

「お前には聞いてない」

メイヤがうるさいとアーサンを黙らせる。

アレンは魔王の日記に書いてあったような茶番が、目の前で起きたので感動していた。

大爆笑しながら。

「何を言うておるのじゃ?そんな事決まっておるじゃろ」

魔王が言った。

「だよねぇ。やっぱり三人で暮らすのが楽しいよね」

アーサンは自分の意見を肯定する意味で『決まっておるじゃろ』を解釈し、はしゃいでいた。

「勇者に倒されるためにもえはここにいるのじゃ」

メイヤの質問に答えた魔王がそこにいた。
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