魔王家
「……分かった」

アレンは少し何か考えて、魔王に返事をした。

「いや、だから何アレンも返事しちゃってんの!もえちゃん辞めてよ」

アーサンは必死に止めようとした。

「黙れ、アーサン。これは魔王と勇者の問題じゃぞ」

魔王の言葉では、アーサンやメイヤを拘束することはもう出来ないが、あまりの迫力に黙ってしまう。

「もえ、戦う前にちょっと渡して置きたい物があるんだけど」

アレンがバックをゴソゴソしだす。

「何じゃ。興を削ぐようなことをするな」

アーサンとメイヤは最早心配し、離れて見守るしかない。

「戦うのは後にしてちょっと休憩しないか?どうせなら全力でやりたくね?」

アレンがそう言いながら、何かを魔王に放り投げた。

「何を言うておる。早く……」

魔王の手元にアレンが投げた物が飛んできた。

とっさに魔王はキャッチしてしまう。

「ちょっと激しく動いて割れてるのが多いんだけど、約束のもんだよ」

魔王がキャッチしたものは、『せんべい』だった。

正直アレンは展開が急過ぎて、せんべいを出すタイミングを逸しており、やっと出せたのだ。
< 139 / 152 >

この作品をシェア

pagetop