魔王家
魔王にとってアレンがせんべいを出してきたのは、小さなきっかけだった。

「分かった……。これを食べたら決着をつけようぞ」

魔王がアレンの提案を受け入れた。

「よっしゃ。その前にアーサン、メイヤ!席を外してくれないか」

アレンが二人にお願いする。
アーサンとメイヤはもう蚊帳の外だった。
本人達も気づいている。

「分かった……。アレン後は任せた……ただ……二人きりだからって、僕のもえちゃんに変なことするなよ!」

アーサンが叫んだ。

「誰が『僕の』だ。私『達』の魔王様だ。アレン、私からも頼む」

メイヤがアーサンをぶん殴りながら、アレンにお願いした。

「俺達もう子供じゃないぜ?」

アレンは少しだけ冗談を言って場を和ませる。

「アレン、変なことを言うな。それにもえは誰のものでもないわ」

照れながら魔王が反論する。

「困った部下達じゃな」

魔王に与えた小さなきっかけは、最早アレンと二人きりで戦わずして過ごす事に疑問を抱かせなかった。

そして二人の部下達は通路の奥へと消えていく。
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