魔王家
アーサンとメイヤを見送り、残った二人は腰を下ろした。

魔王はせんべいを食べ始める。

「なぁもえ。俺さ、もう戦う力残ってないんだ」

アレンが突然ぶっちゃける。

それを聞き、残ったせんべいを粉々に握り潰す魔王。

「ふざけるな!もえは勇者と戦う為にここへ来たのじゃ!アレンと……戦う為に」

自らの口で『アレン』と言うことで、変に意識してしまった。

それでもまだ使命を全うする気持ちが強い。

「騙してすまなかった」

「先ほど勇者は嘘をつかないと言った口はどの口じゃ!」

魔王の落ち着きかけた気持ちが、どんどん負の方へ流れようとする。

魔王は立ち上がり、アレンに詰め寄る。

「落ち着けって。俺、お前に二つ教えておくことがあるんだ。な、それ聞いても納得いかないなら、俺を殺して次の勇者を待てばいい」

再び魔王は腰を下ろした。

そして粉々になったせんべいを払い落とし、新しいせんべいを取る。

「今度適当な事を言えば、力が有ろうがなかろうが関係ない。もえと素直に戦うのじゃ」

アレンはこれで終らせるつもりだった。

そして、アレンは話しだす。
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