魔王家
―三年前のあの時―

「メイヤ、もえちゃんやアレン遅くない?ちょっと様子を見に行こうよ」

アーサン達が席を外して、かれこれ三時間は経つ。

通路は塞がったりしていないので、魔王が倒されたなどは考えられない。

「そうだな。行ってみようか」

アレンは何をしているんだろうか、二人はそんな事を考えながら玉座の間を目指し通路を歩いた。

まもなく玉座の間に着いた。

「え、誰も……っ!」

玉座の間には魔王は愚か、アレンもいなかった。

しかし、何かがいた。

二人はその何かに近づいて行く。

「これは……」

そこには小さな赤ん坊が『二人』いた。

せんべい袋の横に。

「もしかして、新しい『魔王』?」

アーサンの言葉にメイヤは少し考える。

「……どうだろうか。新しい魔王なら結界なんかが出来たり、玉座の間が閉鎖されたりと新魔王誕生の兆候があるはず……だが、今回は……」

「えっ、じゃあこの子達は一体……」

それは魔王とアレンが残した奇跡の結晶。

『光と闇』どちらも持ち、そしてそれはどちらにも偏らない。

そんな存在として誕生したのだった。

だが、それを知る者は誰もいない。

神のみぞ知る。
< 150 / 152 >

この作品をシェア

pagetop