魔王家
(アレンと一緒の中学にはいけない)

そう考えたらまた変な違和感が心の奥底に出てきた。
何か言わなければいけないようなことがあるような気がするがそれが何か分かんない。

「でも不思議なんだけどな、またいつか会えるような気がするんだよなぁ」

「ほんとか?」

「まぁ今度会える時は……その時が来たらもえの好きなせんべいでも持っていくよ」

「約束じゃぞ。せんべい絶対忘れるなよ」

魔王はせんべいにこだわった。

いや……ほんとはせんべいはどうでもいいのだ。
ただ『また会える』というアレンの言葉を自分に言い聞かせ、信じたかったに違いない。

「はいはい。せんべい忘れませんよ」

アレンは笑いながら答えている。

「絶対に絶対じゃぞ」

魔王はもう前が見えない。

「ちょ……もえ?」

アレンが心配そうに覗き込む。

「夕立が……降……る……など予……報で……は言っ……てなか……った……のに……なぁ…」

アレンが一言。

「ごめんな……」

夕立は本降りにかわった。




修得:絆
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