魔王家
━入学式からニ週間後━

「そろそろ決めねばなぁ」

魔王は悩んでいた。
中学生になると始まるのが『部活』だ。
何をするかもう決めないと期限が迫っている。

魔王はアーサンとメイヤに相談してみることにした。

「もえちゃん何悩んでるんですか!!決まってますよ!!水泳部ですよ水泳部!!」

アーサンからは言い知れぬ必死さが伝わってくる。

「水泳部かぁ」

「ほら、水着もちゃんとあるし!!」

メイヤが凄まじい殺気を出している。

「またお前は不埒な考えを!!」

メイヤがまたアーサンをぶっとばそうとした。

が、しかし。

「ふふふ。メイヤの分もあるぞ、ほら」

今日のアーサンは何かが違う。
メイヤの攻撃をかわしながら、どこからかまた水着を取り出した。
それを見たメイヤに異変が起きた。

「似合うかな……」

メイヤは水着を見ながらうっとりしている。
今年の流行りの水着だったのだ。
初めてアーサンが勝った瞬間だ。

「二人とも趣旨が変わっておる。それに水泳部は長い時間、日が当たるからあんまり気が進まぬ」

アーサンは痛いとこを突かれへこんでいる。
メイヤは一瞬でもアーサンの作戦に負けたことを恥じた。
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