魔王家
14歳
―二年生なってすぐ―

魔王は目立っていた。
魔王なのに天使のように輝いていた。

しかし中学で目立つということは当然『体育館裏呼び出しイベント』が強制発生することが増えることになる。

「ちょっと可愛いからって調子に乗ってんじゃねぇぞ」

「聞こえてんのか?あぁ?」

魔王は有名なチンピラ風ヤンキー少女二人組に絡まれていた。

「だから何だというのじゃ?もえに歯向かうのか?」

「ぶっ殺してやる!!」

二人は襲いかかってきた。

相手が空手部創部以来のエースだとも知らずに……。

秒殺……いや瞬殺だった。

圧倒的な強さを見せつけると

「すいませんでした!!もえさん、その強さに惚れました!!あたしら舎弟にして下さい!!」

お決まりの展開だったが、魔王も最近人の上に立つことに優越感を覚えている。

「ついてまいれ」

マントを翻すポーズをしながら魔王は浸っている。
自分に酔っていた。

最初から魔王なのに。




修得:支配力
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