魔王家
―季節は秋―

「僕と付き合って下さい!!」

魔王は『体育館裏イベント』の告白編を体験していた。

「すまんのぉ。お主とは付き合えん」

「他に誰か好きな人がいるとかですか?」

「そのような奴はこの学校にはおら……」

魔王はそれきり黙って帰ってしまった。
帰る途中やたらとため息をする魔王。

城に着くと例によって、アーサンやメイヤに報告。

「もえちゃん、それ『恋』だね」

アーサンが少女漫画のヒロインより目をキラキラさせている。

メイヤは

「そんなわけないだろう!死ねよお前」

とツッコんでいるのだが、明らかに『恋』の文字を聞いてからの魔王の様子がおかしい。

「魔王様……まさか……」

「はぁ……」

今日何度目のため息だろうか。

「ほらほらほーら。恋患いなんだよ。初恋に憧れる女の子。いいことじゃないか。恋する乙女は可愛いよ」

テンションが明らかにおかしいアーサン。
しかし、魔王はアーサンの的確な言葉に今までのある思い出、心に抱いた違和感について考えていた。

魔王は自室に帰って休んだ。




修得:恋患い
< 32 / 152 >

この作品をシェア

pagetop