魔王家
―夏休みも間近に迫り―

「はい、今から将来の夢を書いてもらいます。正直に書けよ」

魔王は悩んだ。

『正直に』というフレーズにかなり悩んだ。
魔王は『正直に』魔王になることを書くべきか、『正直に』アイドルになりたいと書くべきか。

魔王は『正直に』の意味を見い出せずにいた。

用紙が配られると

「あ!!」

魔王は思わず叫んだ。
希望を書く欄が二つあったから。

「悩み損をした」

魔王は『アイドル』と書くことも『魔王』と書くことも躊躇わなかった。




修得:素直な心
< 38 / 152 >

この作品をシェア

pagetop