魔王家
―修学旅行―

魔王が通う学校の修学旅行は典型的なコースで古い神殿や祠(ほこら)、ダンジョン見学をしたり、勇者博物館などを回る。

「楽しみじゃなー」

バスの中では魔王以外の生徒は歴史文学に興味はないので、恋バナやゲームに盛り上がっていた。

魔王だけは歴史文学の方を楽しみにしていた。

「生でダンジョンを見れるんじゃなぁ」

ダンジョンに入るまで本当に期待に満ち溢れていた。

「こんなものか。やっぱり開いておる宝箱を見ても面白くないな。所詮他人が攻略済みのダンジョンじゃしな」

発言が冒険者視点になっている。

ダンジョン見学で空の宝箱の前に刺されている説明パネルを見ながら魔王はがっかりしていた。

「アーサンのベッドの下の宝箱の方がよっぽどわくわくする」

この時、アーサンに悪寒が走ったのを魔王は知らない。

罠なんかもボタンを押すと発動するのだが、安全の為にガラスで仕切られており臨場感に欠ける。

それでも参考にはなると一人熱心に見学をした。

神殿や祠はやはり神メインだったので興味がなく、むしろ嫌気が差したくらいだった。




修得:ダンジョン知識
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