魔王家
―練習試合―

魔王はアーサン以外と戦うのは久々で張り切っていた。

「先輩の空手見るの久々です。超楽しみにしてます、押忍」

二人の舎弟空手部員もテンションが高い。

魔王は団体戦の先鋒に当てられた。

「大将でもよかったのだがな。もえと戦えるのを誇りに思うがいい」

相手選手は当然ビビっていた。
中学時代無敗の三連覇チャンピオンが目の前にいるのだから。

試合は始まった。

魔王もスイッチが入る。

開始早々、魔王の右正拳があまりの速さにガードも間に合わず顔面に入る。
同時に相手選手の意識は刈り取られ、倒れた。

と思われたが、魔王は倒れることも許さない。
右正拳のすぐ後に相手選手を左ハイキックでぶっ飛ばした。

魔王は勝利したが一同唖然。

相手選手は鼻血を出し、泡を吹いて倒れていた。

「雑魚が」

いつもなら決して言わないだろう発言が魔王の口から吐かれた。

(狙い通り)

メイヤはこの試合でこうなることを予想しているかの様だった。

「もえちゃーん」

昨日からの狙い通り、勝利した魔王に抱きつこうとする一匹の狼。

「死ね」

魔王の容赦ない蹴りで、人生二度目の女の子体験をする憐れな一匹の狼。

二人の空手部員だけは羨望の眼差しを魔王に送った。




修得:残酷さ
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