魔王家
「それは?」

魔王はアーサンに聞き返す。

「もえちゃんにはまだ生きていて欲しい。まだ一緒に馬鹿やっていたいんだ」

魔王の疑問が膨らむ。

アーサンの言っている意味が分からない。

「アーサン余計なことは言うなよ。これは魔王様が決めることなんだぞ」

メイヤは意味を悟ったらしくアーサンを牽制した。

「二人で何を隠しておる」

魔王はなおも懐疑を抱く。

「アーサンはただの独占欲の塊なだけですよ」

ここでもアーサンの日頃の行いのお陰で、魔王は素直に納得していた。

(メイヤはやはりおかしい。もえちゃんも何を考えてるのか分からない)

この時既に魔王はマーサがいないせいで、自分の中に負の力をだいぶ溜め、『魔王』になるという意識が固まってしまっていた。

メイヤを操るマーサの予想を上回る早さだった。

「だから『アイドルにはなりません』と余が言うたろうに」

マーサの口調になったメイヤは魔王に聞こえないように不適に笑いながら呟いた。

「今の言葉……」

アーサンは聞いてしまった。




修得:魔王覚醒
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