魔王家
「私は初代様に操られていたみたいなんだ」

メイヤの言葉を聞き、やはりそうだったのか、と思ったアーサン。

誰かに操られていたとすれば、今までのメイヤらしからぬ言動も説明がつくというもの。

「みたい?自覚ないのに何で操られていたって分かるのさ」

アーサンの疑問を予想していたかのようにある紙を出してきた。

『メイヤへ
一年間、嫁入り前の大切な体を余の野望のために提供してくれて恩にきる。余はもえの体に戻り、来たる日のために力を蓄えておく。その時はよろしく。
        マーサより』

そんな軽めの手紙を見て、アーサンは開いた口が塞がらない。

「初代様が関わっていたのか」

「私がふがいないばっかりに魔王様を十九もの若さで……」

例え操られていたとしても、自分がやったことのようにメイヤは落ち込んでいた。

「終わったことはしょうがないよ。メイヤは悪くないんだしね。僕らがもえちゃんをしっかり支えていこう」

今日は格好いいアーサン。

両手を広げ、『僕の胸に飛び込んでおいで』のポーズをしている。

「調子に乗るな」

メイヤはアーサンのボディに拳のプレゼントをくれていた。

「世界を……狙う……かい」

メイヤからメイヤらしい右のいいツッコミをもらい、元に戻ったメイヤを久々に堪能した。
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