魔王家
20歳
―芽吹きの時期―

宣戦布告から約一年、新ダンジョンが出来てきたので冒険者が増えはじめ、それに伴いダンジョン付近の街は様子が変わってきた。

「魔王様、世界情勢の理解を深める意味で、新しく出来たダンジョンや街などの視察に行きましょう」

難しい言葉で何か言っているメイヤ。

魔王とアーサンは眉をひそめながら、メイヤにツッコんだ。

「旅行に行きたいのじゃろ」

「旅行に行きたいんだろ」

勇者が何処から現れるのか分からないので、昨年一年間は魔王や城の部下達は世界中に作るダンジョンの設計、会議などの激務をこなしていたのだ。

そのため、殆ど城から出ていない。

「……。そうですけど何か?」

メイヤが開き直った。
そして何故か怖い。

「すいませんでした」

二人はメイヤに謝り、視察に行くことを了承した。

メイヤは既にプランを立てており、次の日には出発出来るようスケジュールを組んでいた。

「魔王様、くれぐれも出先で正体を悟られて、万が一にも倒されないように注意して下さい」

「アーサン、この街はどんな街かの」

「楽しみだねぇ」

二人はプラン表を見ながら、全然話を聞いていない。

「アーサン、あまり調子に乗るなよ?」
   
なんで僕だけ、とか文句を言いながらアーサンはメイヤによって花と散る。
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