魔王家
―街を出て―

街の視察を終え、近くのダンジョンへ向かう魔王一行。

「設計者として、現場は見ておかんとな」

魔王は自分が設計したダンジョンが、どのように出来ているのか気になっていた。

「結構エグい罠を作ったのじゃ」

早く行くぞ、と魔王は何故かアーサンを引っ張り先を急ぐ。

「魔王様、今回は遊びに行くだけではなくて、ボスの方々への挨拶とキーアイテムを渡すお仕事も兼ねているのですよ」

普通の冒険者は宝箱狙いが多い。

ボス討伐に関しては、勇者に成りうる者以外やらないので、重要ダンジョンへのキーアイテムはボスに渡しておくのだ。

「遊びのつもりじゃないぞ、メイヤ」

そう言った魔王の口角が上がる。

それを見てしまったアーサンに悪寒が走った。

ついでに逃走も試みる。

「罠にアーサンをぶち込み感度を調べるのじゃ」

調査という名目の拷問をしたいだけの魔王。

「なるほど、調査なら早く行きましょう」

それを見たくてアーサンの逃走を阻止するメイヤ。

「エグいって……どのくらいなの……」

メイヤに捕まり、観念した往年のやられキャラアーサン。

三人は元気よくダンジョンへ向かう。
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