魔王家
―二人の会議―

一ヶ月の視察で世界中のダンジョンへの挨拶、キーアイテムの受け渡しはほぼ終わった。

「アーサン、魔王様も二十歳を迎えられ成長が大分落ち着いた。つまり魔王素養の修得がほぼ完了している状態なんだ」

メイヤが言うには、これからはあまり修得はなく、今まで身につけたことがレベルアップするくらいだとのこと。

「あのスタイルがこれからレベルダウンしなければ僕は何も言うことはないよ」

アーサンは教育係としての品格がレベルダウンしている。

「それより気になる情報が入ってきた」

メイヤが顔を近づけ話だしたので、アーサンに緊張が走った。

「メイヤ、少し皺が増えたね」

いつものようにメイヤがグーで殴る。

だが、その握られた拳に力は入っていなかった。

むしろアーサンの頬に当たる拳は少し震えていたくらいで、メイヤはうつ向いている。

「そんなに皺のことショックだった?」

メイヤは少しの沈黙の後に話出した。

「アーサン……」

アーサンもここでやっと皺のことじゃなくて、『気になる情報』のことでメイヤが深刻になっているのだと気付いた。
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