魔王家
歩くこと半日ほどでアレンはボスのいる所に着いた。

「お前はこんなとこに何をしにきた。お前と同じように入ってきた三人組は宝を見つけて帰って行ったぞ」

ボスはアレンに対して、まさか討伐が目的で自分の元へ来た等と思っていない。

「おめでたい奴だな」

それを聞いてボスの顔色が見る見る内に変わる。

「自分が殺られるとは思ってないのか」

そのアレンの言葉と同時にボスは飛びかかる。

アレンはボスの攻撃をかわしながら剣を構え、何やら魔法のようなものを唱え始めた。

「何してんだ!魔法なら俺には効かないぞ」

さらにボスが攻撃を続けたが、アレンはボスの最大攻撃数を見切った。

その攻撃の隙を突き、一瞬。

ボスは確かに切られた。

しかし、ボスに外傷はなくキョトンとしている。

「さっきのは特殊な魔法でね。お前の『魔』の力だけを切り捨てた」

勇者の資質『成長する力』はアレンに勇者として、いやアレンだけの特殊な力を身につけさせていた。

「俺、殺しはやらないんだよ。勇者だから」

『魔』を切る力。

「ちゃんと魔王に『勇者が現れた』って報告しとけよ」

ボスの目にはもう邪気はなかった。

キーアイテムをもらい、思い出したように言った。

「それじゃ次のダンジョン行くかな。あ、抜け道教えろよ」

勇者はボスだった奴から抜け道を教えてもらい、ダンジョンを後にした。
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