魔王家
アーサンが、何故かボコボコになってメイヤを連れてきた。

魔王がその事を聞くと、メイヤが苦笑いしながら答える。

「はぁはぁ言いながら、突然私の部屋に入ってきたもので」

魔王はアーサンを気の毒に思った。

一瞬だけ。

アーサンがボコボコについてはそれくらいにして、魔王はアーサンにマーサの事を聞いたことを話し、自分の見解を話し始めた。

「マーサはもえの負の力、感情を奪っておるな。特に、最近と宣戦布告の時期では自分で分かるほど心の状態が違う」

メイヤとアーサンは思い当たる節があった。

「今からでもアイドルになりたいのじゃ」

「それは駄目です」

メイヤが即答した。

考えるべき所はもはやそこではない。

「恐らく実体のない初代様は、魔王様の負の力だけが頼りのはずです。今、力を蓄えているのでしょう」

実際そうであった。

意識が覚醒したマーサは、力を蓄え、魔王を乗っとる機会を伺い、息を潜めていた。

「初代様は私に魔王様を乗っ取り、今度こそ世界を牛耳ると言っていました」

それを聞いた魔王は穏やかではない。

「もえは今の世界は好きじゃ。君臨こそすれ、どうこうするつもりはない」

『魔王』らしくない『魔王もえ』らしい台詞だが、メイヤ、アーサン共に同感だった。

「三人で何とかしようよ。もえちゃんが、もえちゃんらしい魔王であるために」

アーサンが言う。

初代様から世界を救うちょっとした勇者気分の三人は、結束を新たにした。

「アーサンが良いことを言うとなんか締まらんのぉ」




修得:マーサの存在
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