傷、のちに愛



「えー、じゃあテキストの……」

淡々と授業が進んでいき、先生目当ての女子はいつの間にかいなくなっていた。

最低限、板書するときだけ顔を上げなければならないが、そうすると必ず先生と目が合う。

そのたびに私は急いで目線をそらし、窓の外を見たり下を向いたりしていた。

そうするたびに心臓が身体の中から出てきそうなくらい高鳴る。

顔も熱くて、背中は汗で湿ってきた。

刺すように鋭い視線が私に突き刺さる。

苦しいよ。
苦しませないでよ。


―――結局、私は授業中ずっとその視線に刺され続けていた。



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